起こった出来事に対して、自分でも「どうして?」と思いたくなるような大きすぎる怒りがでてしまって持て余してしまう経験はありませんか?
大きすぎる怒りは、周りに理解されにくく、
びっくりされたり、時には人間性を誤解される危険もあります。
怒りを出してしまった人には、わかってもらえなかったという新たな怒りが生じたり、
周りの反応に戸惑い、寂しさを感じたり、後悔の念に苦しむことも多いようです。
無自覚な場合はさらに厄介で、
悶々としたストレスを抱え日々を暮らすことになりかねません。
とある職場でおこったことでした。
その女性は上司との間に見解の相違があり、自分の意見は排除されてしまいました。
仕事上では仕方のないことだったで彼女はグッと自分を押さえたそうです。
しかし、手にしていたファイルを机に置いた時、普段なら立つことのない物音が鳴りました。
しまったと思ったそうです。
そのことについて上司との間で調整が行われ、自分の考えを伝えました。
一応上司も受け入れてくれるように見えましたが、最後に
「普段は穏やかなのにどうしてそこだけ頑固なの」といわれたそうです。
それからというもの、数日たってもモヤモヤした感じが収まりません。
長すぎる怒りも出来事に対して適当な大きさの反応とはいえないでしょう。
彼女は内観経験者でしたので、自分のモヤモヤがどこから来るものなのか調べてみました。
すると二つのことに思い当たりました。
一つはファイルを置いた時の音でした。
そこには自分の意見を否定された怒りがありました。
もう一つは上司が、自分の性格についていった一言です。
強く反発する自分が見えたといいます。
彼女は、自分の怒りの源はどこだろうと、さらに自分を見つめていきました。
すると父親との関係に共通点があるように思えました。
父親はプライドが高く高圧的で娘の意見を常に否定する人でした。
都合の悪いことを言われると、問題をすり替え娘の性格が素直でないことを責め立てたといいます。
子どもの頃の彼女は、グッと我慢するしかなかったのです。
知らず知らずにうちに、渦巻くような怒りや口惜しさが蓄積されていました。
無意識のうちに上司と父親が重なっていたのだと理解しました。
否定された悔しさと、仕事上の問題を性格にすり替えられた怒り。
このことに気づいて彼女の心は落ち着きました。
上司への怒りも小さくなって冷静に対応できるような気がするとおっしゃっていました。
大きすぎる怒りも、理由が理解できることで適当な怒りに変化していきます。
大きすぎる怒りは、関係性の破壊や自分自身の心を傷つける方向に働きますが、
適切な怒りの表現は、心を健康にし、新しい人間関係の可能性を開くようです。
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